カテゴリの設計も表示速度の改善も済ませ、主力の商品ページはいくつもの語で検索結果の上位に並ぶようになりました。それなのに、商品ページを開いた人の多くが、カートに入れる前に離れていきます。ECサイトのWEBマーケティング担当者が、順位の次に突き当たりやすいのがこの状態です。
検索順位は上がっても、商品ページが購入に結びついていなかった状態
ここで取り上げるショップは、電動工具と作業用品を専門に扱うECサイトです。ドリルやインパクトドライバー、丸のこといった電動工具を中心に、替え刃やビット、充電池、作業用の手袋や保護めがねまで、数千点の商品を扱っています。購入者は、自宅の修繕や家具づくりに取り組む個人と、現場で工具を使う職人や工務店の両方にまたがっています。
運営を担うのは、仕入れと在庫を管理する担当者と、サイトの更新とWEBマーケティングを受け持つ数名のチームです。商品の登録は、仕入れのたびにメーカーから届く商品資料をもとに進めており、新商品が出る時期には一日に何十ページもの商品ページを追加することがありました。登録の速さは、品ぞろえで勝負するこのショップにとって強みでもありました。
チームがSEO対策に本格的に取り組み始めたのは、検索広告の費用が年々重くなっていたからです。広告に頼らずに商品ページへ人を呼べる状態を目指し、まずはサイトの土台を整えるところから手を付けました。この土台づくりは一定の成果を上げ、主力のカテゴリでは検索順位が目に見えて上がっていきました。ところが、順位が上がっても売上の伸びはそれに追いつきませんでした。
サイト構造や表示速度などの基本的な対策は済んでいた
チームが最初に手を付けたのは、サイト全体の構造でした。商品を思いついた順に追加してきた結果、同じ種類の商品が複数のカテゴリに散らばり、どのページがどの商品群の入り口なのかが分かりにくくなっていたからです。
チームは、トップページの下に大きなカテゴリを置き、その下に用途や種類で分けたサブカテゴリ、さらにその下に個々の商品ページを置く、ピラミッド構造のディレクトリ設計に組み直しました。電動工具というカテゴリの下にドリルやインパクトドライバーのサブカテゴリがあり、その下に各商品が並ぶ形です。URLもこの階層に合わせ、どの階層のページかがURLから読み取れるようにしました。上の階層から下の階層へ、下の階層から一つ上の階層へ、迷わずたどれる内部リンクも整えています。
ページの上部には、この階層をそのまま示すパンくずリストを置きました。商品ページを開いた人が、自分がどのカテゴリのどの種類の商品を見ているのかを一目で確かめ、一つ上の階層に戻って別の商品を比べられるようにするためです。階層とURLとパンくずリストの三つをそろえたことで、サイトの中での位置が、どこから見ても同じように伝わる状態になりました。

表示速度の改善にも取り組みました。商品画像のファイルが大きく、スマートフォンで商品一覧を開くと表示に時間がかかっていたため、画像を軽い形式に変え、画面に入るまで読み込まない設定にしました。一覧ページで絞り込みの条件を変えるたびに別のURLが大量に生まれていた点も見直し、検索エンジンに読ませるページを整理しています。
スマートフォンでの表示の遅さを後回しにしなかったのは、ネット通販での買い物の多くがスマートフォンから行われているためです。経済産業省の令和6年度電子商取引に関する市場調査によると、物販の消費者向け電子商取引の市場規模のうち、スマートフォン経由の割合は年々高まっており、2024年には61.7%に達したと推計されています。
これらの対策によって、カテゴリページとサブカテゴリページの順位は上がり、検索からの流入も増えました。サイトの骨組みとしては、目立った問題が無い状態になっていたといえます。チームも当初は、ここまで整えれば売上は後からついてくると考えていました。
順位はついても商品ページで離脱されていた
流入が増えても売上が伸びないため、チームはアクセスの内訳を細かく確かめました。すると、検索から商品ページに直接入ってきた人の多くが、そのページだけを見てサイトを離れていることが分かりました。カートに商品を入れる操作まで進む人は、流入の伸びに比べてほとんど増えていませんでした。
チームは、商品ページごとに、ページを開いてから離れるまでの時間と、ページのどこまで読み進めたかも確かめました。離脱の多い商品ページでは、多くの人が仕様の一覧のあたりまでは読み進めながら、その先で離れていました。仕様を見比べたうえで、それでも判断がつかずに離れているように見える動きです。
離脱の傾向は、商品によって差がありました。定番の消耗品のように、型番を指定して買いに来る人が多い商品では、購入まで進む割合は大きく変わっていません。差が出ていたのは、ドリルやインパクトドライバーのように、用途に合うものを比べて選ぶ商品です。こうした商品ページでは、ページを開いてから短い時間で離れる人が目立っていました。
問い合わせ窓口に届くメールにも、手がかりがありました。同じ商品について、次のような質問が何度も届いていたのです。
- この商品で木材に穴を開けられるか
- 手持ちの充電池がそのまま使えるか
- 前のモデルと何が変わったのか
いずれも、購入を決める前に確かめたい内容でした。答えが商品ページで見つからなかった人の一部は窓口に尋ね、残りの多くは尋ねずに離れていったと考えられます。
こうした状況から、チームは原因がサイトの骨組みではなく、商品ページの中身にあるのではないかと考えるようになりました。検索から商品ページまで人を連れてくることはできていても、そのページで購入を決めるための材料を渡せていなかったのです。
商品説明がメーカー資料の転載のままだったという実態
商品ページの中身を一つずつ確かめていくと、多くのページで商品説明がメーカーから届いた資料の文面をほぼそのまま載せたものになっていました。登録を急ぐ中で、仕様の一覧と、メーカーが用意した紹介文を貼り付ける運用が定着していたのです。
この運用が定着した背景には、仕入れの担当者とサイトの担当者の分担がありました。仕入れの担当者はメーカーから届いた資料をそのまま共有し、サイトの担当者は、資料の中身を確かめる時間を取れないまま、決まった書式に流し込んで公開していました。月ごとに登録する件数が目標になっていたこともあり、一つの商品ページに時間をかける余地がありませんでした。
メーカーの資料は、その商品の性能や仕様を正確に伝えるための文書です。回転数やトルク、重さ、付属品の一覧といった数値は、どの販売店にとっても欠かせない情報です。一方で、資料の紹介文は、製品そのものの特長を説明するために書かれています。買う人がどんな作業に使うのか、ほかの商品と比べて何を基準に選べばよいのかといった、購入を迷っている人の疑問に答えるための文章ではありません。
メーカーの資料には、性質の違う情報が混ざっています。性能を示す数値と仕様の一覧、製品の特長を紹介する文章、そして安全に使うための注意書きです。販売店がどこまで手を加えてよいかは、情報の種類によって違います。
| 資料の中の情報 | 載っている内容 | 販売店での扱い |
|---|---|---|
| 数値と仕様の一覧 | 回転数やトルク、重さ、付属品の一覧 | 販売店が変えてはいけない |
| 紹介の文章 | 製品そのものの特長の説明 | 誰に向けてどう伝えるかを販売店が考えてよい |
| 注意書き | 安全に使うための注意 | 販売店が変えてはいけない |
このショップでは、この三つを区別しないまま、まとめて転載していました。資料の文面をそのまま載せていたことには、二つの面で弱さがありました。検索の面では、同じメーカーの資料を使う販売店のページに、似た文面が並ぶことになります。どの販売店のページを見ても書いてあることが同じなら、検索エンジンがこのショップのページを選ぶ理由は、文面の中からは見つかりにくくなります。購入の面では、比べて選びたい人が知りたいことが、ページのどこにも書かれていない状態でした。
チームが問い合わせ窓口に届いた質問と商品説明を突き合わせたところ、質問の大半は、商品説明を読んでも答えが分からない内容でした。たとえば、仕様の一覧には対応する電圧の数字が書かれていても、手持ちの充電池がこの本体で使えるかどうかは、その数字だけでは判断できません。数字を読み解くための説明が、ページに無かったのです。
チームが自分たちで同じ商品を検索してみると、どの販売店のページにも同じ紹介文と同じ仕様の一覧が並んでいました。これでは、比べて選びたい人に残る手がかりは、価格と送料しかありません。このショップが価格の比べ合いに巻き込まれやすかったのは、商品ページの中身で違いを出せていなかったことと無関係ではありませんでした。


型番が違うだけのよく似た商品ページが並んでいたことも、同じ問題から生まれていました。メーカーが色や付属品の違いで型番を分けて出すたびに、それぞれを別の商品ページとして登録していたため、中身のほとんど同じページがいくつも並んでいました。買う人から見れば、どのページを見ればよいのか、何が違うのかが分からない状態です。
販売を終えた商品のページも、多くがそのまま残っていました。後継のモデルが出ても古いページは消されず、検索から古いページに入った人は、在庫切れの表示を見て離れるしかありませんでした。後継のモデルへ案内する表示も無く、せっかく検索から来た人を次の商品につなげられていませんでした。
商品画像も、メーカーから提供された製品単体の写真だけでした。どの程度の大きさなのか、手に持ったときにどう見えるのか、実際の作業でどう使うのかは、その写真からは伝わりません。説明文と同じく、画像もまた商品そのものを紹介するためのもので、買う人が使う場面を思い描くための材料にはなっていませんでした。
こうした実態は、商品を早く登録することを優先してきた運用の結果でした。登録の速さは品ぞろえを支えていた一方で、一つひとつの商品ページが、買う人にとって判断の材料になっているかどうかは、長いあいだ確かめられていなかったのです。
購入前の疑問に答える内容へ商品説明を書き換えた取り組み
原因が商品説明にあると分かってから、チームは商品ページの追加を急ぐ運用をいったん見直し、既にある商品ページの中身を書き換える作業に時間を割くことにしました。すべての商品を一度に書き換えることはできないため、流入はあるのに離脱の多い商品ページから順に手を付けています。
書き換えの基準にしたのは、問い合わせ窓口に届いていた質問です。同じ商品について繰り返し届く質問は、買う人が購入の前に確かめたいことをそのまま表しています。チームは質問を商品の種類ごとにまとめ、その答えが商品ページで読めるようにすることを、書き換えの目標に置きました。
作業は、商品説明そのものの書き換えと、型番違いや販売終了のページの整理という、性質の違う二つに分かれます。前者は一つひとつの商品ページの中身を変える作業で、後者はサイトの中でページどうしの関係を整える作業です。どちらも、買う人が迷わずに目当ての商品にたどり着き、そこで判断できる状態を目指すものでした。
書き換えにあたっては、仕入れの担当者とサイトの担当者が同じ場で商品ごとの説明を決める時間を設けました。資料の数値の意味や、メーカーに確認済みのことを知っているのは仕入れの担当者で、どう書けば買う人に伝わるかを考えるのはサイトの担当者です。二つの役割を分けたままでは、転載の運用に戻ってしまうからです。
メーカー資料の転載をやめ、使う場面や選び方を自分たちの言葉で書いた
書き換えでは、メーカー資料の数値はそのまま残し、その数値が買う人にとって何を意味するのかを、自分たちの言葉で添えることにしました。回転数やトルクの数字の横に、どの程度の太さのネジを締められるのか、どんな材料に穴を開けるのに向いているのかを書く、といった具合です。仕様を読み解く手間を、ページの側で引き受ける形にしました。
書き換える項目は、商品の種類を問わず、ページの上から次の順に並べることにしました。
- その商品で何ができるのかを一文で示す
- 向いている作業と向いていない作業を書く
- 同じサブカテゴリの商品との選び分けを示す
- 購入前によく尋ねられる点に答える
- メーカー資料の仕様の一覧を載せる
順番をそろえたことで、書く担当者が変わっても抜けが出にくくなり、買う人も、どの商品ページでも同じ位置で知りたいことを探せるようになりました。


使う場面の説明も加えました。同じインパクトドライバーでも、家具の組み立てに使う人と、現場で毎日使う人とでは、重視する点が違います。チームは、その商品がどんな作業に向いていて、どんな作業には向いていないのかを、具体的な作業の例を挙げて書くようにしました。向いていない作業をあえて書いたのは、買ったあとに合わなかったと感じる人を減らすためです。
選び方の説明は、同じサブカテゴリに並ぶ商品どうしの違いが分かるように書きました。充電池の電圧が違う商品や、同じシリーズでも出力が違う商品について、どういう人にはどちらが合うのかを示し、関連する商品ページへのリンクを添えています。ピラミッド構造で整えたサブカテゴリのページにも、そのカテゴリの商品を選ぶときの考え方をまとめ、商品ページと行き来できるようにしました。
問い合わせで繰り返し届いていた質問には、商品ページの中で直接答えるようにしました。手持ちの充電池が使えるかどうかは、対応する充電池のシリーズ名を明記し、前のモデルとの違いは、変わった点と変わっていない点を並べて書いています。答えは、仕入れの担当者がメーカーに確認した内容や、実際に商品を扱った経験から分かったことに限りました。
自分たちの言葉で書くときに、チームが気を付けたことがあります。商品の性能をよく見せようとして、資料に無い効果を書き足さないことです。不当景品類及び不当表示防止法第五条第一号は、商品の品質や規格などについて、一般消費者に対し、実際よりも著しく優良であると示す表示を禁じています。特定商取引に関する法律第十二条も、通信販売の広告で、商品の性能などについて著しく事実に相違する表示や、実際よりも著しく優良もしくは有利であると人を誤認させる表示をしてはならないと定めています。チームは、性能に関わる記述は必ず資料か確認済みの事実に基づけることを、書き換えの決まりにしました。
商品説明を書き換える中で、価格や送料、支払いの方法、届く時期、返品の条件といった取引の条件の表示を崩さないことにも注意しました。特定商取引に関する法律第十一条は、通信販売の広告に、販売価格と送料、代金の支払いの時期と方法、商品の引渡しの時期、申込みの撤回や解除に関する事項などを表示するよう定めています。説明文を大きく組み替えても、これらの表示の位置と中身は変えない運用にしています。
型番違いや販売終了のページも放置せずに整理した
型番違いのよく似たページについては、同じ商品の色違いや付属品違いを、一つの商品のバリエーションとして扱う形に改めました。Googleは、サイズや色が違う商品をそれぞれ別のURLで識別できるようにしたうえで、内部リンクやサイトマップ、正規のURLを示すタグで、同じURLを一貫して使うよう案内しています。チームはこの考え方に沿って、バリエーションどうしの関係がページの上でもURLの上でも分かるように整理しました。


整理の過程で、中身がほとんど同じページが複数あり、どれを残すかを決める必要がありました。チームは、検索からの流入と購入の実績を見て代表になるページを決め、残りのページの説明文は、そのバリエーションに固有の違いが分かる内容に書き直しています。違いが色だけのように説明のしようがないものは、一つのページの中で選べる形にまとめました。
販売を終えた商品のページは、後継のモデルがあるかどうかで扱いを分けました。後継のモデルがあるページは、後継のモデルのページへ恒久的に転送する設定にしています。Googleは、元に戻す予定が無い場合は恒久的なリダイレクトを使うよう案内しており、恒久的なリダイレクトでは検索結果に転送先のページが表示されると説明しています。古いページから来た人が、そのまま今買える商品にたどり着けるようにするための整理です。
転送するかどうかは、後継のモデルが本当に同じ用途で使えるかどうかで判断しました。型番が新しくなっただけで対応する充電池や付属品が変わる場合もあるため、仕入れの担当者がメーカーに確認し、同じ使い方ができると確かめられたものだけを転送の対象にしています。用途が変わる場合は、転送せずに古いページを残し、販売を終えたことと、近い用途の後継品を案内する表示を加えました。
後継のモデルが無い商品のページは、ピラミッド構造の一つ上の階層にあるサブカテゴリのページへ案内を置き、近い用途の商品を選べるようにしました。どこへ案内するかを迷わずに決められたのは、先に整えていたディレクトリの階層があったからです。どの商品がどのサブカテゴリに属するかがはっきりしていたので、販売を終えた商品の受け皿も、その階層に沿って決められました。
ページの状態ごとの扱いを並べると、次のようになります。
| ページの状態 | 扱い |
|---|---|
| 違いが色だけのように、説明で書き分けられない型番違いのページ | 一つのページの中で選べる形にまとめる |
| 説明で違いを書き分けられる型番違いのページ | 流入と購入の実績で代表のページを決め、残りのページの説明文を、そのバリエーションに固有の違いが分かる内容に書き直す |
| 同じ使い方ができる後継のモデルがある、販売を終えた商品のページ | 後継のモデルのページへ恒久的に転送する |
| 後継のモデルで用途が変わる、販売を終えた商品のページ | 転送せずに残し、販売を終えたことと、近い用途の後継品を案内する表示を加える |
| 後継のモデルが無い、販売を終えた商品のページ | ピラミッド構造の一つ上の階層にあるサブカテゴリのページへ案内を置く |
整理した結果は、サイトマップにも反映しました。転送したページや一つにまとめたページの古いURLを外し、残したページのURLだけを載せることで、内部リンクとサイトマップと正規のURLを示すタグが、同じページを指す状態にそろえています。作業の途中でURLの表記が揺れないよう、どの形のURLを正とするかを最初に決めてから整理に入りました。
型番違いをまとめたあとは、正規のURLを示すタグが、残したページを正しく指しているかを確かめる必要があります。WordPressで商品ページを運営しているなら、Kashiwazaki SEO Canonicalで、ページの編集画面からページごとに正規のURLを個別に指定できます。一覧画面で投稿タイプと「カスタム設定あり」を選んで絞り込むと、正規のURLを個別に指定したページと、その指定先をまとめて確かめられるため、サイトマップに残したURLとの照合を一覧の上で進められます。WordPress標準のcanonicalの出力を止めて、このプラグインの出力に切り替える作りなので、指定した正規のURLがそのページに書き出されます。
書き換え後に検索結果と購入の両方に表れた変化
ここで示す変化と数値は、複数の取り組みを再構成したモデルケースにおける一例です。特定のショップの実測値ではなく、同じような書き換えを行ったときに現れやすい傾向として読んでください。商品の種類や価格帯、もとのページの状態によって、結果は大きく変わります。
変化は、検索結果と購入の両方に表れましたが、出方には時間の差がありました。書き換えた商品ページは、早いものでは数週間のうちに検索結果での表示のされ方が変わり、購入の割合の変化はそれよりやや遅れて見えてきました。書き換えを流入の多いページから順に進めたため、変化もそれらのページから先に表れています。
チームは、書き換えの前後で、同じ商品ページの検索からの流入と、カートに入れた割合、購入に至った割合を比べる形で効果を確かめました。サイト全体の売上だけを見ていると、季節や広告の影響と区別がつかないためです。書き換えたページと、まだ書き換えていないページを並べて見ることで、変化の理由をある程度切り分けられるようにしました。
指名検索以外のキーワードで商品ページが上位に出るようになった
書き換える前の商品ページが上位に出ていたのは、主に型番や商品名そのものでの検索、いわば商品を名指しする指名検索でした。その商品をすでに知っている人が、どこで買うかを探すときの検索です。こうした検索では、同じ商品を扱う販売店どうしで、価格や送料の比べ合いになりやすい状況でした。
書き換えた後は、用途や悩みを含んだ検索で、商品ページが上位に表示されるようになりました。たとえば、ある材料に穴を開けるための工具を探す検索や、手持ちの充電池に合う本体を探す検索です。こうした検索をする人の多くは、まだどの商品を買うか決めていない段階にいると考えられます。商品ページに使う場面と選び方を書き足したことで、その段階の人の検索に、商品ページが応えられるようになりました。
ここまでの変化を、書き換えの前後で比べると次のようになります。
| 比べる点(一例) | 書き換える前 | 書き換えた後 |
|---|---|---|
| 上位に出ていた検索 | 型番や商品名そのものでの検索(指名検索) | 用途や悩みを含んだ検索 |
| 検索する人の段階 | その商品をすでに知っていて、どこで買うかを探している | まだどの商品を買うか決めていない |
| 起きやすいこと | 同じ商品を扱う販売店どうしの、価格や送料の比べ合い | 使う場面と選び方の説明が、判断の材料として読まれる |
サブカテゴリのページの順位にも変化が見られました。選び方の説明を加えたサブカテゴリのページは、商品の種類を比べたい人の検索で表示されることが増え、そこから個々の商品ページへ進む人も増えています。ピラミッド構造の階層に沿って、上の階層で比べ、下の階層で決めるという流れが、検索からの入り口でも機能し始めたといえます。
型番違いのページを整理したことで、同じ商品について複数のページが検索結果で競い合う状態も解消されました。代表のページに評価が集まり、そのページが以前より安定して表示されるようになっています。
用途や悩みを含んだ検索から来た人は、型番で検索して来た人に比べて、商品ページの説明を長く読む傾向がありました。使う場面や向いていない作業の説明まで読み進め、そのうえで関連する商品ページへ移って比べる動きも見られています。書き足した説明が、実際に判断の材料として読まれていることが、この動きから分かります。
商品ページ経由の購入率が上がった
購入の面では、書き換えた商品ページを経由した購入の割合が、書き換える前の一・五倍ほどになった商品が目立ちました。特に差が大きかったのは、以前に同じ質問が繰り返し届いていた商品です。質問への答えをページに書いた商品ほど、購入までの離脱が減っていました。
問い合わせ窓口に届く質問にも変化がありました。対応する充電池や前のモデルとの違いといった、商品ページに答えを書いた質問は目に見えて減っています。代わりに、複数の商品を組み合わせて使う方法や、大量に購入するときの相談のように、ページだけでは答えきれない質問の割合が増えました。窓口の担当者が、答えを繰り返す作業から、一件ずつ相談に乗る作業へ時間を移せるようになったことも、書き換えの効果の一つです。


返品の理由にも変化が表れました。以前は、思っていた用途に使えなかった、手持ちの充電池が合わなかったといった理由の返品が一定数ありました。向いていない作業や対応する充電池を明記した後は、こうした理由の返品が減っています。購入の割合が上がっただけでなく、買ったあとに合わなかったと感じる人が減ったことは、ショップの評判にとっても意味のある変化でした。
販売を終えた商品のページから後継のモデルへ案内した整理も、購入につながりました。古い型番で検索して入ってきた人が、転送先の後継モデルのページで購入する流れが生まれ、以前は在庫切れの表示で失っていた人を、今の商品につなげられるようになっています。
カートに入れたあとで購入をやめる人の割合にも変化がありました。以前は、カートに入れてから充電池が別売りであることに気づいて購入をやめる人が一定数いましたが、商品説明で付属品と別売りの品をはっきり分けて書いた後は、こうした途中での取りやめが減っています。購入を決める前に知っておくべきことを、決める前の段階で伝えられるようになった結果です。
商品説明の書き換えで見えてきた、購入につながる要因
この取り組みを振り返って、私たちSEO Note! Teamが購入につながる要因だったと考えるのは、商品説明の役割を、商品を紹介する文章から、買う人の判断を助ける文章へ置き換えたことです。メーカーの資料は商品の正確な情報を伝えますが、どれを買えばよいかを決める手助けまではしてくれません。その間を埋める説明を、販売する側が書く必要がありました。
この置き換えを支えた要因を、取り組みの場面ごとに整理すると次のとおりです。
- 問い合わせ起点の判断材料
問い合わせ窓口に届く質問を起点にしたことが大きく効いています。どんな説明を足せばよいかを、チームが頭の中で考えるのではなく、実際に買う人が尋ねてきた内容から決めたため、書き足した説明が購入前の疑問に直接答えるものになりました。質問が少ない商品では、窓口の担当者や仕入れの担当者が、店頭や電話で受けてきた相談の記憶も手がかりにしています。 - 返品理由からの洗い出し
返品の理由を説明の見直しに使ったことも、問い合わせが少ない商品の書き換えを支えました。思っていた用途に使えなかったという理由の返品は、商品説明に向いていない作業が書かれていなかったことを示しています。返品の理由を商品ごとに集めて、説明に足りなかった点を洗い出すことで、窓口に質問が届いていない商品でも、書き足すべき内容を決められるようになりました。 - 向いていない作業の明記
向いていない作業まで書いたことが、購入の割合と返品の両方に効きました。チームの中にも、当初は商品のよい面だけを書きたいという声がありました。しかし、比べて選びたい人にとっては、何に使えないのかも判断の材料になります。合わない人が買わずに済むことは、合う人が安心して買えることと表裏の関係にありました。 - 表現の線引き
性能に関わる記述を資料か確認済みの事実に限ったことが、書き換えを続けるうえでの支えになりました。このショップでも、自分たちの言葉で書き始めた当初は、表現が強くなりがちでした。書いてよいことの線を先に引いておいたことで、担当者が変わっても説明の質がぶれにくくなり、景品表示法や特定商取引法の誇大な表示にあたる記述を避けることにもつながっています。 - ピラミッド構造の土台
ピラミッド構造のディレクトリ設計を先に整えていたことが、書き換えの効果を広げる土台になりました。選び方の説明をまとめる場所も、販売を終えた商品の案内先も、すでにある階層の中から決められました。骨組みが整っていない状態で説明だけを書き換えても、書き換えたページどうしを結びつけるのは難しかったはずです。 - 離脱の多いページから着手
流入はあるのに離脱の多い商品ページから手を付けたことが、早く効果を確かめられた理由です。数千点のすべてを同じ重さで書き換えようとすれば、成果が見えるまでに長い時間がかかり、途中で取り組みが止まっていたかもしれません。効果が大きいと見込めるページから進め、変化を確かめながら範囲を広げたことで、書き換えを続ける理由を社内で共有できました。 - 登録時の運用への組み込み
新しい商品を登録するときにも同じ項目の順で説明を書く決まりにしたことが、効果を持続させています。書き換えを一度きりの作業にすると、新しく登録する商品ページがまた転載に戻ってしまいます。登録の速さは多少落ちましたが、仕入れの担当者とサイトの担当者が登録の時点で説明を決める流れを作ったことで、転載に頼らない商品ページが増え続ける状態になりました。
これらの要因に共通するのは、検索から人を連れてくることと、来た人がそのページで購入を決められることを、別の課題として扱う姿勢です。サイトの骨組みや表示速度は前者を支え、商品説明の中身は後者を支えます。どちらかが整っていても、もう一方が欠けていれば、売上にはつながりにくくなります。
ただし、見誤りやすい点もあります。順位が上がったのに売上が伸びないとき、広告や価格に原因を求め、商品ページの中身を見直さないまま値下げに進むことがあります。このショップも当初は、価格の比べ合いで負けているのではないかと考えていました。しかし、離脱が目立っていたのは価格で比べられやすい定番品ではなく、用途で選ぶ商品のほうでした。どの商品で離脱が起きているのかを確かめてから打ち手を選ぶことが、遠回りを避けることにつながります。
まとめ
ECサイトのSEO対策で、検索順位は上がったのに購入が増えないときは、商品ページの中身を確かめる価値があります。ここまで見てきたモデルケースでも、ピラミッド構造のディレクトリ設計や表示速度の改善といった土台は整っていた一方で、商品説明がメーカー資料の転載のままで、購入前の疑問に答えられていませんでした。
書き換えでは、メーカー資料の数値を残したうえで、その数値の意味、使う場面、向いていない作業、選び方を自分たちの言葉で添え、問い合わせで繰り返し届く質問にページの中で答えました。あわせて、型番違いのページをバリエーションとして整理し、販売を終えた商品のページは後継のモデルやサブカテゴリへ案内しています。表現は、景品表示法と特定商取引法の誇大な表示にあたらないよう、資料か確認済みの事実に基づけました。
その結果、用途や悩みを含んだ検索で商品ページが上位に出るようになり、書き換えた商品ページでは購入の割合が上がり、問い合わせと返品の中身も変わりました。順位の次に何を見直すかで迷っているときは、まず問い合わせ窓口に届いている質問と、商品説明に書いてあることを突き合わせるところから始めてください。








