「9月の終わりごろから、順位やアクセスの動きが落ち着かない」。そんな心当たりはないでしょうか。9月25日、Googleがスパムアップデートの展開を始めました。今年に入って4回目で、この記事の公開時点でも、まだ展開が続いています。Googleは完了まで最大2週間かかる可能性があると告知しており、今年のこれまでのスパムアップデートと比べて、際立って長い見込みです。
もうひとつ、8月の下旬には、検索結果のリンクの仕組みにも見逃せない変更がありました。一見するとまったく別の出来事ですが、向いている方向は同じです。この記事では、9月に何が起きたのかを振り返りながら、これからのSEOとLLMOで何を備えておくべきかを整理していきます。LLMOとは、ChatGPTやClaudeなどのAIが質問に答えるときに、自分のサイトの情報が正しく取り上げられるようにする取り組みのことです。
September 2026 スパムアップデートの概要
まずは、事実の整理から始めましょう。Googleが「September 2026 スパムアップデート」の展開を始めたのは、日本時間の9月25日 午前1時15分。本記事の公開時点(10月1日)では、まだ展開が続いています。3月、6月、8月に続く、今年4回目のスパムアップデートとなります。
Googleが公開しているリリース履歴を見ると、スパムアップデートが年に4回行われるのは、ここ数年で最多のペースです。2025年は1回だけでしたので、2026年は突出して対策が活発な年といえるでしょう。
これまでの3回では、低品質なコンテンツの大量生成、類似ページの大量生成、テンプレートを使ったウェブページ作成の自動化といった手法への対応が、繰り返し進められてきました。
今年は、回を重ねるごとに長くなっている
注目したいのは、展開にかかった時間の変化です。今年のスパムアップデートを並べてみると、その違いがはっきりします。
| アップデート名 | 展開にかかった時間 |
|---|---|
| March 2026 スパムアップデート | 19時間30分 |
| June 2026 スパムアップデート | 2日1時間 |
| August 2026 スパムアップデート | 2日16時間 |
| September 2026 スパムアップデート | 展開中(最大2週間の見込み) |
今回、Googleは開始の時点で「完了まで最大2週間かかる可能性がある」と告知しています。今年のこれまでの「数日」という見込みから一気に跳ね上がった形で、明らかに長期戦の構えです。
ここからは私たちの見立てです。この長さと、年4回というペースを合わせて見ると、AIによる自動化や、価値の低いサイトの見直しに対する「最終仕上げ」のアップデートなのではないか、と考えています。もちろん、今後の動きを見ないと断定はできません。
対象のポリシーは明言されていない
なお、Googleは、どんな行為をスパムとみなすかを「スパムに関するポリシー」(スパムポリシー)として公開しています。ただ、今回のアップデートがそのどれを対象としているかは明言しておらず、「通常のスパムアップデート(a normal spam update)」と説明しているだけです。
海外のSEOメディアでは、順位を上げる目的でリンクを買ったり不自然に集めたりする「リンクスパム」は、今回の対象ではないと伝えられています。ただし、これはGoogle自身の発表ではなく、記者がまとめた内容である点には注意が必要です。
特定の手法に的を絞って対策するよりも、スパムポリシー全般への適合をあらためて確認しておくのが堅実でしょう。順位が気になる方は、展開の途中や完了した直後は評価がまだ落ち着いていませんので、慌てて手を入れず、展開が完了して変動が収まってから傾向を確かめてみてください。見直したい観点は、過去のレポートに整理してあります。
検索結果のリンクが「google.com/goto」経由に
もうひとつの動きが、8月下旬にGoogleが行った検索結果の仕様変更です。
従来、検索結果のリンクには、外部サイトのURLが直接書かれていました。現在は、これが「google.com/goto」というGoogleのアドレスをいったん経由してから、目的のサイトへ自動で転送する方式(リダイレクト)に置き換わっています。
Googleの公式な説明は「不正利用に対する技術的対策」という一言のみです。ただ、狙いはAI企業やデータ収集業者による、検索結果の大量スクレイピングへの対策と見られています。スクレイピングとは、プログラムで検索結果を自動的に読み取り、データを大量に集めることです。リダイレクト先のURLは独自の形式で符号化されていて、そのままでは読み取れません。そのため、データを集めるツールの多くは、リンクを1件ずつ辿って行き先を確かめる必要に迫られました(独自に読み解いて対応したと発表した事業者もあります)。1ページに数百のリンクがあれば、そのぶん膨大な回数のアクセスが必要になります。
順位計測ツールへの影響は大きい
影響が大きかったのは、順位計測ツールや、検索結果ページ(SERP)の変化を監視するツールです。データの取得方法そのものを作り直す必要に迫られました。10月時点でも、正常に動作していない計測ソフトが見受けられます。「最近、順位のデータが取れなくなった」という場合は、サイトの問題ではなく、ツール側の事情かもしれません。
ひとつ、ご安心いただきたいことがあります。この変更は検索結果ページ内のリンクに限った話です。実際の順位そのものや、Search Consoleのデータには影響しません。
今後の方向性は「人の手によるもの」
今回取り上げた二つの動きは、いずれも、AIを利用した自動化や、AIによる情報のコピー・侵食を防ぐ方向で一致しています。これらを踏まえると、Googleが求めているのは、人の手によるコンテンツ作りや施策である、と考えられるでしょう。
ただ、いまは情報を探す入口がGoogleだけではなくなりました。GPTやClaudeといった、さまざまなAIによる情報検索も増えてきています。そこで、AIのクローラー(AIのサービスが、サイトの情報を集めるために巡回させるプログラム)向けにも、最低限の備えはしておきたいところです。
事前に導入しておきたい備え
- 構造化マークアップ
サイトの階層構造や、発信者の身元を機械にも正しく伝えます。 - AIが読み取りやすい形式のファイル(llms.txtなど)の設置
AIが好むとされるMarkdown(見出しや箇条書きを使える、シンプルな文章の書き方)やJSON(データを決まった形で書く形式)で、サイトの情報をまとめたファイルを置く方法です。代表的なものが、サイトの概要や主なページへの案内をMarkdownでまとめた「llms.txt」です。 - サイトのMCP対応
MCP(Model Context Protocol)は、AIがサイトから直接情報を取りに来られるようにする仕組みです。ファイルを置くのではなく、AIからの問い合わせに答える窓口(MCPサーバー)を用意します。
なお、Googleは公式のガイドで、Google検索のためであれば、llms.txtのようなAI向けのファイルを新たに作る必要はないとしています。ここで挙げたllms.txtやMCPへの対応は、Google検索の順位のためというより、ChatGPTやClaudeなど、ほかのAIに情報を正しく届けるための備えと考えてください。
サイトのMCP対応については、8月のレポートで詳しく触れています。私たち自身も、自社の公開情報をAIへ直接提供するMCPサーバーを公開していますので、実際にどういうものなのか触れてみたい方は、こちらをご覧ください。
チャットボットを導入したサイトが伸びている
もうひとつ、効果を上げているサイトを見ていて気づくことがあります。チャットボットを導入したサイトが、流入数やアクション数、エンゲージメントを伸ばしているのです。
AIをうまく活用して、インタラクティブな対話型のサービスを発信していくこと。これが、今後のSEOやLLMOにおいて、重要なポイントになってくる可能性があります。
人の手による中身を土台に、AIにも届ける
2026年9月は、Googleの向かう先がいっそうはっきりした一カ月でした。あらためて整理しておきましょう。
- スパムアップデートは年4回、しかも長期化している
今回は最大2週間の見込み。特定の手法ではなく、スパムポリシー全般への適合を確認しておく。 - 検索結果のリンクが「google.com/goto」経由になった
影響を受けるのは順位計測ツールなどで、実際の順位やSearch Consoleのデータには影響しない。 - AIによる自動化やコピーを防ぐ方向で、動きが一致している
Googleが求めているのは、人の手によるコンテンツ作りや施策だと考えられる。 - AIクローラー向けの最低限の備えと、対話型サービスの検討
構造化マークアップ、llms.txtの設置やMCP対応、そしてチャットボットなどの活用。
Googleの二つの動きからは、人が手をかけて作ったものを重んじる方向が読み取れます。一方で、情報を探す入口は、GoogleからAIへと広がり続けています。人の手による中身を土台にしながら、AIにも正しく届く形に整えておく。その両方を、少しずつ進めていきたいところです。
サイトの状態の確認や、構造化マークアップ・MCP対応などの導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。





