転職サイトのSEO対策事例、コラム頼みから求人ページ中心に変えた道筋

この記事では、検索流入がコラムに偏っていた転職サイトが、求人一覧と求人詳細を作り直して応募を増やすまでを、私たちSEO Note! Teamが支援の経験から再構成したモデルケースとしてお伝えします。「表示回数がほとんど無いときと、表示はされているのにクリックされないときとでは、打つ手がまったく違います」。そこから、登録の壁と掲載が終わった求人の扱いを先に直し、掛け合わせの一覧ページと構造化データは、そのあとに回しました。一件ずつの手直しでは追いつかない件数を抱える担当者に読んでほしい内容です。

転職サイトを運用していると、コラムには検索から人が来るのに、肝心の求人ページにはほとんど入ってこないという状態にぶつかります。検索結果の上位は大手の転職サイトと求人検索エンジンで埋まり、自社の求人一覧は見つけてもらえません。掲載企業からは応募が少ないと言われ、会員を増やすための登録の壁は外しにくい。そうした行き詰まりから、求人ページを検索の入口として作り直していった経過をたどります。手を入れたのは、記事の本数ではなく、毎月入れ替わる求人そのものの見せ方でした。

求人ページの流入が伸び悩んでいた転職サイトの状況

この転職サイトは、首都圏と地方の主要都市の中途採用の求人を扱う、職種を絞らない総合型のサイトです。運営会社の社員は四十名ほどで、掲載企業の開拓と原稿の入稿は営業が担当し、サイトの開発は社内のエンジニアが二名、集客はWEBマーケターが一人で見ていました。掲載企業は数百社あり、求人は毎月入れ替わります。

流入の内訳を見ると、会員へのメールからの再訪問と、SNSと広告からの流入が中心でした。検索からの流入もありましたが、その大半はトップページと、転職のノウハウを扱うコラムに集まっていました。応募につながる求人一覧ページと求人詳細ページは、検索からほとんど入られていない状態です。

コラムは、サイトを知ってもらう役には立っていました。ただ、読んでいるのは情報を集めている段階の人が多く、会員登録や応募まで進む人は限られます。コラムの本数を増やしても応募は増えないという実感が、社内にも広がっていました。

掲載企業からは、応募が少ないという声が届いていました。営業は、掲載の更新や枠の追加を提案しにくくなり、値引きで引き留める場面も出てきます。求人そのものが検索から見つけてもらえないという構造を変えなければ、掲載企業の満足も、会員の応募も増えないところまで来ていました。

サイトの規模も、手の打ちどころを決める材料になりました。公開している求人は常時数千件あり、掲載期間はおおむね一か月で入れ替わります。ページ数だけを見れば、コラムの数十本とは桁が違います。にもかかわらず、検索から入られるのはコラムばかりという状態は、抱えている在庫を活かせていないということでもありました。WEBマーケターは、この数千件をどう見せるかが勝負どころだと考えるようになります。

SEO施策スタッフ
SEO Note! Team
SEO Note! Team
毎月入れ替わる在庫を抱えるサイトでは、コラムの本数を増やす前に、その在庫のページが検索に出ているかを確かめたいところです。数千件のページが検索から素通りされている状態は、裏を返せば、一件ずつ書き足さなくても効き目が広がる余地が残っているということでもあります。

求人ページの流入を妨げていた原因

WEBマーケターは、原因を思い込みで決めずに、Google Search Consoleの数字とサイトの作りを突き合わせて洗い出すことにしました。ページの種類ごとに表示回数とクリック数を分け、求人一覧、求人詳細、コラム、その他に整理したところ、求人ページは表示回数そのものがほとんど無いことが分かりました。検索結果に出ていないのか、出ていても選ばれていないのかで打つ手が変わるため、ここを先に切り分けています。

大手転職サイトと求人検索エンジンに囲まれた検索結果

「職種名 求人」「職種名 地域名」といった言葉で検索すると、上位には大手の転職サイトと、複数のサイトから求人を集めて表示する求人検索エンジンが並んでいました。どれも掲載件数が桁違いで、同じ言葉で正面から順位を争っても、中途半端な一覧ページでは太刀打ちできません。

「職種名 求人」で検索した結果を模した図。上位に大手の転職サイトと求人検索エンジンのカードが並び、下のほうに自社の求人一覧が小さく置かれている

この検索結果を見て、WEBマーケターは、一般的な職種名の一覧ページで上位を目指す方針をいったん外しました。代わりに、大手が細かく作り込んでいない掛け合わせの条件と、求人そのもののページで見つけてもらう道を探すことにしています。

探し方と合っていなかった求人一覧ページ

当時の求人一覧ページは、職種の大分類と、都道府県だけで分かれていました。ところが、求職者の探し方はもっと細かく、職種に加えて、未経験でも応募できるか、時短勤務ができるか、在宅勤務が選べるかといった条件が入ります。サイトの中の検索機能では絞り込めても、その結果は検索エンジンから見つけられる形になっていませんでした。

絞り込みの結果はURLのパラメータで作られ、条件の組み合わせの数だけページが生まれます。似た内容のページが無数に並び、どれを検索結果に残すのかという整理もされていませんでした。並び順や表示件数を変えただけのURLにも、それぞれ別のページとして中身が返ります。どのURLを正規のものとして扱うかの指定も無く、検索エンジンから見れば、ほとんど同じ一覧が延々と続いているように見える状態でした。

絞り込みで生まれるURLの扱いは、どれを正規とみなすかを把握できているかどうかで難しさが変わります。このプラグインは、投稿や固定ページごとにcanonicalを指定できるほか、アーカイブのページ送りを自動で扱い、ほかのプラグインが出した重複するcanonicalタグを取り除きます。指定の状態を管理画面で一覧できるので、検索結果に残すページと残さないページの線引きを、URL単位で確かめながら決められます。

他の転職サイトと同じ内容で並んでいた求人原稿

求人詳細ページの中身は、掲載企業から受け取った原稿をほぼそのまま載せたものでした。掲載企業は同じ原稿を他の転職サイトにも出しているため、同じ文章が複数のサイトに並びます。仕事内容の説明は箇条書きで数行、給与と勤務地は条件の表に収まるだけで、働く場所の雰囲気や選考の流れは書かれていません。

これでは、求職者がどのサイトで読んでも同じで、この転職サイトで読む理由がありません。検索エンジンから見ても、ほかで読める内容と変わらないページが増えていくだけでした。同じ原稿が並んだとき、どのサイトが読まれるかはサイトの知名度や掲載の順番で決まりやすく、後発のサイトには不利に働きます。掲載企業に「御社の求人は当サイトでこう見えます」と説明できる材料も、この状態では作れませんでした。

会員登録をしないと中身が見られない求人

求人詳細ページは、仕事内容の冒頭だけが見え、給与や勤務地の詳細、応募方法は会員登録の後ろに置かれていました。会員数を増やすための設計でしたが、検索から訪れた人には中身がほとんど見えません。

Googleは、求人情報の構造化データを入れる手順の中で、robots.txtnoindexタグ、ログイン要件によってページがブロックされていないことを確かめるよう案内しています。登録の壁は、求職者の離脱を招くだけでなく、検索での扱いにも関わる問題でした。会員登録の画面まで進んで離脱する人の多さは、アクセス解析でも見えていました。求人の中身を確かめられないまま登録を求められれば、ほかのサイトで同じ求人を探すほうが早いと考えられても不思議はありません。

Googleの求人検索に出ていなかった求人

求人詳細ページには、求人情報の構造化データが入っていませんでした。そのため、検索結果の中で求人をまとめて見せるGoogleの求人検索機能の対象になっていません。

さらに、掲載が終わった求人のページがそのまま残っていました。募集が終わった求人に応募しようとした人からの問い合わせも、月に何件か届いていました。検索から入った人が読めるのは、すでに終わった求人ばかりという状態です。リッチリザルトテストで求人詳細ページを調べても、求人情報の構造化データは何も検出されませんでした。

SEO施策スタッフ
SEO Note! Team
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表示回数がほとんど無いときと、表示はされているのにクリックされないときとでは、打つ手がまったく違います。前者は検索結果に出る前の段階の問題なので、タイトルや説明文を書き直しても動きません。求人を扱うサイトのご相談では、登録の壁と、掲載が終わった求人の扱いを先に見にいきます。この二つは、直すほどあとの施策が効きやすくなる土台だからです。

転職サイトのSEO対策で求人ページから手を付けた理由

洗い出した原因は、一覧ページの作り、求人原稿の中身、公開範囲、構造化データと失効の扱いに分かれていました。すべてを同時に直す人手は無いため、どこから手を付けるかを決める必要があります。

求人サイトは、求職者が転職活動で使う手段として大きな位置を占めています。厚生労働省の令和2年転職者実態調査では、転職活動の方法として「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」を挙げた人が39.4%で最も高く、上位の方法の中で前回の調査から大きく伸びたのもこの方法でした。公表されている最新の回は、令和2年10月1日現在の状況を調べたものです。

出典: 厚生労働省 令和2年転職者実態調査(令和2年10月1日現在)

求人サイトが使われているのなら、その中で選ばれる求人ページをどう見せるかが、この転職サイトの課題になります。

WEBマーケターが求人ページを選んだ理由は、応募までの距離が近いことでした。コラムから応募までは何段階もありますが、求人ページは読んだその場で応募に進めます。掲載企業に示す成果も、コラムの読者数ではなく応募数です。

もう一つの理由は、仕組みで効かせられることでした。コラムは一本ずつ書くしかありませんが、求人ページは入稿の項目やテンプレート、構造化データの出力を直せば、毎月入れ替わる数百件の求人すべてに同じ改善が及びます。人手の足りない運営体制でも、手を入れた分が積み上がります。

決め手になったのは、法令の側からも同じ方向を向いていたことです。職業安定法の第五条の四は、求人に関する情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じ、募集情報等提供事業を行う者に対して、その情報を正確かつ最新の内容に保つための措置を講じることを求めています。掲載が終わった求人を残さない、原稿の内容を実態に合わせるという作業は、検索のためだけでなく、事業として果たすべきことでもありました。この整理が、経営層に説明するときの土台になっています。

法令の原文を公開している e-Gov 法令検索の条文ページです。第五条の四は三つの項に分かれていて、虚偽や誤解を生じさせる表示の禁止が第一項、募集を行う者自身が情報を正確かつ最新の内容に保つ義務が第二項、募集情報等提供事業を行う者などが正確かつ最新の内容に保つための措置を講じる義務が第三項に置かれています。

費用の面も判断を後押ししました。求人検索エンジンへの掲載や広告の出稿は、出している間だけ露出を得られますが、止めれば流入も止まります。自社の求人ページを検索から見つけてもらえる状態にしておけば、掲載企業から預かった求人そのものが、そのまま集客の資産になります。人手の限られた運営会社にとって、続けられる形はこちらでした。

職種、エリア、働き方の掛け合わせで組み直した求人一覧ページ

最初に取りかかったのは、求人一覧ページの作り直しです。大手と同じ一般的な言葉で争うのではなく、求職者が実際に使う細かい条件に合わせて、一覧の切り口そのものを組み直しました。サイトの中の絞り込み機能は以前からありましたが、その結果は検索エンジンから見つけられる形になっていませんでした。そこで、絞り込みの条件のうち、探されている組み合わせだけを選び、独立したページとして検索の入口にすることにしています。作る前に決めたのは、どの組み合わせを検索結果に残し、どれを残さないかという線引きでした。組み合わせは作ろうと思えばいくらでも増やせるため、増やし方ではなく止め方を先に決めておく必要があったからです。

30代や未経験、時短勤務といった求職者の探し方の洗い出し

WEBマーケターは、サイト内の検索でどの条件が選ばれているか、問い合わせや会員アンケートにどんな言葉が出てくるか、営業が掲載企業から聞いている採用の条件は何かを、一つの表に集めました。そこから見えてきたのは、職種の大分類ではなく、もっと具体的な探し方でした。

洗い出したのは、次のような条件です。

  • 未経験から挑戦できる職種
  • 資格を活かせる仕事
  • 時短勤務ができる職場
  • 在宅勤務を選べる仕事
  • 年代を意識した求人

これらを職種の中分類と、都道府県や主要な駅などのエリアと掛け合わせることで、一覧ページの候補を洗い出しました。掛け合わせの候補が実際に検索されているかは、Google Search Consoleで自社サイトが表示されている検索語句と、サイト内の検索で入力された言葉を見比べて確かめています。社内で思いつく言い方と、求職者が実際に入力する言い方がずれていることも少なくありませんでした。

掛け合わせの候補を作る段階では、社内で思いついた言い方が実際に検索されているのかを、件数で確かめたくなります。このツールは月間検索数に加えて直近12か月の推移を示し、関連するキーワードを検索数の多い順に30件まで並べます。季節で動く職種かどうかまで見えるので、一年を通して件数が続く組み合わせだけを検索の入口にする、という線引きの材料になります。

検索結果に残す一覧ページと外す一覧ページの線引き

掛け合わせの候補は、そのまま作れば数千の単位になります。しかし、中身がほとんど同じページを大量に並べると、Googleのスパムに関するポリシーで「誘導ページの不正使用」とされる形に近づきます。ポリシーには、特定の地域や都市を対象としたドメイン名やページを複数持ち、そこから一つのページへユーザーを誘導することや、内容が類似する複数のページを作成することが、例として挙げられています。

Google 検索のスパムに関するポリシーで、違反したサイトは掲載順位が下がったり、まったく表示されなくなったりすることがあると示されているページです。誘導ページの項には、本文で触れた例のほかに、URLとトップページがわずかに違うサイトを複数用意する例や、サイト内の階層が明確でないまま内容の似たページを並べる例も挙げられています。

そこで、検索結果に残す一覧ページには条件を付けました。その条件に当てはまる求人が一定の件数を超えて続いていること、その一覧に固有の説明文を用意できることの二つです。条件を満たさない組み合わせは、サイトの中では絞り込めるものの、検索エンジンには登録されないようにしました。

職種、エリア、働き方を掛け合わせた一覧ページの表を示した図。求人の件数が続いていて説明文も用意できる組み合わせには「検索結果に残す」の印、そうでない組み合わせには「サイトの中だけ」の印が付いている

求人は毎月入れ替わるため、掲載件数が減って条件を満たさなくなる一覧も出てきます。そこで、件数を毎週確かめ、下回った一覧は検索結果から外す運用にしました。作って終わりではなく、増やしたり戻したりする仕組みとして扱っています。

一覧ページごとに用意した固有の説明文

検索結果に残すと決めた一覧ページには、その条件ならではの説明文を用意しました。書いたのは、その職種とエリアでどんな求人が多いのか、未経験や時短といった条件で探すときに何を確かめるとよいのか、応募の前に準備しておくとよいことです。

言葉を差し替えただけの説明文は作らないことにしました。地域名や職種名だけを入れ替えた文章は、読む人にとって役に立たないうえ、内容が似たページを増やすことにもなります。説明文を書けるだけの材料がない一覧は、検索結果に残さないという線引きを、ここでも守っています。

掲載企業の求人原稿を土台にした求人詳細ページの見直し

一覧ページの整理と並行して、求人詳細ページにも手を入れました。掲載企業から受け取る原稿はそのまま使いつつ、この転職サイトでしか読めない情報を足していく方針です。原稿そのものを書き直してもらう案も出ましたが、掲載企業の手間が増えれば掲載をやめる会社が出かねません。そこで、原稿の書き直しは求めず、運営側が集められる情報を足すことにしました。足す情報は、営業が掲載企業を訪問したときに必ず得られるものに絞り、特別な取材をしなくても毎回そろう形にしています。入稿の項目を見直すことと、公開する範囲を変えることも、同じ流れの中で決めました。

運営側が求人原稿に足した独自情報

営業は、掲載企業を訪問したときに必ず職場の写真を撮り、配属される部署の人数や一日の流れ、選考が何回あるかを聞き取るようにしました。聞き取った内容は、原稿とは別の欄に入れて求人詳細ページに載せています。

同じ原稿がほかのサイトにも並んでいても、職場の写真と、選考の進み方、配属先の様子が書かれていれば、読む人にとっての価値は変わります。求人を出している企業にとっても、応募前の不安が減ることは歓迎されました。営業にとっては訪問の手間が増えますが、掲載企業に見せられる差別化の材料にもなっています。

求職者が信用できる求人にするための入稿画面の項目

原稿の質を上げるために、入稿画面そのものも作り直しました。入力の項目には、次のものを加えています。

  • 具体的な業務の流れを書く欄
  • 給与の内訳と、みなし残業の有無
  • 就業場所と業務の変更の範囲

いずれも、営業が掲載企業に確かめれば埋められる範囲にとどめ、選択式で入力できる形にしました。

この設計の根拠になったのも、職業安定法の第五条の四です。虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないこと、情報を正確かつ最新の内容に保つことは、入稿の時点で項目として押さえておくほうが確実です。営業には、埋めにくい項目ほど求職者が知りたい情報であることを説明し、掲載企業に確認してもらう流れを作りました。

会員登録なしで求人だけ見られる公開範囲

会員登録の壁は、経営層を交えて見直しました。決めたのは、求人の中身は登録なしで最後まで読めるようにし、応募と、気になる求人の保存、スカウトの受け取りを会員の機能として残すという線引きです。

登録なしで読めるようにすることは、検索から訪れた人に中身を見てもらうためであり、Googleが求人情報の構造化データの手順で求めている、ログイン要件でページがブロックされていない状態を満たすためでもあります。会員数が減るのではないかという懸念はありましたが、応募までの経路が短くなるほうが掲載企業の満足につながるという判断でした。

SEO施策スタッフ
SEO Note! Team
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掲載企業に原稿の書き直しを頼む形の改善は、途中で止まりがちです。頼む相手が増えるほど、続くかどうかが相手の都合に左右されます。運営側が自分で集められる情報に絞って足すという決め方は、地味に見えて、半年後も同じ品質で回っているかどうかを分けます。

Googleの求人検索に求人を出すための構造化データと失効管理

公開範囲を整えたうえで、求人詳細ページに求人情報の構造化データを実装しました。検索結果の中で求人をまとめて見せるGoogleの求人検索機能に載るためには、決められた項目を満たし、掲載が終わった求人を残さない運用が必要になります。この機能は、ページに書かれた求人情報の構造化データを読み取って、職種や勤務地で絞り込める形で求人を見せる仕組みです。裏を返せば、構造化データが無ければ対象になりませんし、項目が足りなければ表示されないこともあります。さらに、掲載が終わった求人が残っていると、応募できない求人が検索から読める状態になり、問題として扱われます。実装と運用の二つをそろえて初めて、毎月入れ替わる求人が正しく扱われるようになります

JobPostingの構造化データで見直した必須項目

実装したのはJobPostingの構造化データです。Googleが必須としている項目は次のとおりです。

プロパティ入れる内容
title職務の名称
description仕事の詳しい説明
datePosted掲載を始めた日付
hiringOrganization募集している組織
jobLocation勤務地
validThrough掲載が期限切れになる日付(期限がある求人では必須)

Googleのドキュメントでは、この必須の項目ごとに、値の型と、入れる内容の説明、記述の例が添えられています。

Google 検索セントラル「求人情報(JobPosting)の構造化データ」の必須プロパティの表。先頭の datePosted と description の行が写っていて、それぞれの型と、入れる内容、記述の例が並んでいる

この転職サイトでは、入稿画面の項目と構造化データの出力を対応させ、原稿が入稿された時点で自動的に出力される形にしました。給与を示すbaseSalaryについては、雇用主以外は指定しないようにとGoogleが案内しているため、掲載企業から求人を預かって載せるこのサイトでは出力せず、給与の条件はページの本文と入稿の項目で示す形にしました。実装したあとは、リッチリザルトテストとURL検査ツールで、数ページずつ確かめました。

入稿された内容から出力している形は、必須の項目だけを抜き出すと次のようになります。

<script type="application/ld+json">
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "JobPosting",
  "title": "Webエンジニア(中途採用)",
  "description": "<p>仕事内容や応募資格を、ページに出している内容と同じ文面で書きます。</p>",
  "datePosted": "2026-09-01",
  "validThrough": "2026-09-30T23:59",
  "hiringOrganization": {
    "@type": "Organization",
    "name": "株式会社サンプル",
    "sameAs": "https://example.co.jp/"
  },
  "jobLocation": {
    "@type": "Place",
    "address": {
      "@type": "PostalAddress",
      "streetAddress": "1-1-1",
      "addressLocality": "渋谷区",
      "addressRegion": "東京都",
      "postalCode": "150-0000",
      "addressCountry": "JP"
    }
  }
}
</script>

掲載が終わった求人の失効処理とIndexing APIの利用

もう一つの柱が、掲載が終わった求人の後始末です。Googleは、期限切れの求人にユーザーがアクセスできる状態を問題として挙げ、ページを完全に削除して404410を返すか、JobPostingの構造化データをページから削除することを案内しています。

掲載が終わった求人ページの後始末の流れを示した図。掲載期間の終了、ページの非公開と進み、「ページを残すか」の分岐から、ページを削除する(404か410を返す)、Indexing APIで削除をリクエスト、検索結果から消える、という流れと、ページを残す(構造化データを外す)という流れに分かれている

この転職サイトでは、掲載が終わった求人を次の手順で扱うことにしました。

  1. STEP 1

    掲載の終了

    掲載期間が過ぎた求人を、自動で非公開にします。

  2. STEP 2

    ページの削除

    求人のページを削除し、404か410を返すようにします。

  3. STEP 3

    構造化データの扱い

    事情があってページを残す求人では、削除の代わりにJobPostingの構造化データを外します。

  4. STEP 4

    検索インデックスからの削除

    Indexing APIで、そのURLの削除をリクエストします。

Googleは、求人情報のURLについてはサイトマップよりもIndexing APIの利用を勧めており、サイト全体はサイトマップで補うという使い分けも示しています。掲載が終わった求人を残さない運用は、職業安定法が求める、情報を正確かつ最新の内容に保つための措置とも重なっていました。

掲載が終わった求人を消しても、サイトマップやフィードの側に古いURLが残っていれば、消したはずのページが案内され続けます。このプラグインは、XMLの中のURLの生存確認を分割して実行し、時刻を決めた自動チェックと、結果をメールで受け取る形に対応しています。毎月入れ替わる求人のように、消える前提のURLを大量に抱えるサイトほど、人が見に行かなくても気づける形にしておく価値があります。

開発と営業を巻き込んだ社内の進め方

ここまでの取り組みは、WEBマーケター一人では進みません。一覧ページの出し分けと構造化データの出力は開発、求人原稿の中身は営業、掲載企業への説明は営業と広報が関わります。そこで、進め方そのものを先に決めました。

開発とは、毎週三十分の打ち合わせを設けました。一覧ページの線引き、構造化データの出力、失効処理の自動化を、一度にまとめて依頼するのではなく、効果が見込める順に小さく切って出すようにしています。開発側からは、サイトの改修計画に組み込みやすいと歓迎されました。

営業には、入稿項目が増える理由を数字で説明しました。求人詳細ページに独自の情報がある求人と、原稿のままの求人で、応募率にどれだけ差があるかを月ごとに共有し、埋める手間が応募につながることを示しています。掲載企業への説明資料にも、この差を載せました。

会員登録の壁を外す判断だけは、現場では決められません。会員数を追う立場と、応募数を追う立場で見方が分かれるためです。WEBマーケターは、登録なしで読めるようにした場合に想定される会員数の落ち込みと、応募の増加見込みを並べて経営層に示し、まず一部の職種で試して数字を見るという進め方で合意を取りました。

掲載企業への説明も、営業任せにはしませんでした。求人ページの見直しで何が変わるのかを一枚の資料にまとめ、営業が掲載企業に配れるようにしています。入稿の項目が増えることへの理解も、この資料で得られるようになりました。

担当が代わっても続けられるように、手順を書き残すことも決めました。一覧ページを検索結果に残す条件、失効の処理、構造化データの確認の手順を社内のドキュメントにまとめ、毎月の確認作業として当番制にしています。一人に担当が偏ったまま進めると、その人が異動した時点で運用が止まってしまうためです。

SEO施策スタッフ
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社内の進め方まで決めておくかどうかで、一年後の状態が変わります。検索からの流入は、直した瞬間ではなく、直した状態が続いているあいだに積み上がるものだからです。手順を書き残して当番で回す形にしておくと、担当が代わっても、確かめる項目が減らずに残ります。

求人ページの流入が増えるまでの経過

取り組みの成果は、すぐには表れませんでした。ここで示す数値は、複数の支援経験をもとに再構成したモデルケースの一例で、実在するサイトの実績ではありません。変化を見るときに気をつけたのは、サイト全体の数字だけを追わないことでした。求人ページの改善と、コラムの流入や広告の出稿は別々に動くため、まとめて見ると何が効いたのか分からなくなります。ページの種類ごとに分けて記録し、前の年の同じ月と比べる形にしたのは、季節による求人数の増減をそろえるためでもあります。

変化を確かめた指標と見方

見る指標は、取り組みを始める前に決めました。Google Search Consoleの数字を、求人一覧、求人詳細、コラム、その他のページの種類ごとに分け、表示回数とクリック数を毎月記録します。あわせて、検索から求人ページに入った人の応募数と、掲載企業ごとの応募数も並べました。

構造化データについては、Search Consoleの拡張にある求人情報のレポートで、エラーと警告の件数を毎週確かめています。数字が動かない時期でも、エラーが減っていることが分かれば、作業が進んでいる証拠になります。一方で、見ないと決めた数字もあります。サイト全体のセッション数は、広告の出稿量やメールの配信で大きく動くため、求人ページの改善を測る指標には向きません。会員登録の数も、公開範囲を変えれば下がることが分かっていたので、応募数とあわせて見るようにしました。

施策の直後に流入が伸びなかった期間

取り組みを始めて三か月ほどは、求人ページの流入はほとんど動きませんでした。それどころか、検索結果に残す一覧ページを絞り込み、掲載が終わった求人を削除したため、サイト全体の表示回数は一度下がっています。

ここで方針を戻さなかったことが、後から見ると分かれ目でした。下がったのは中身の薄いページと、すでに募集していない求人の分です。WEBマーケターは、ページの種類ごとの数字と、構造化データのエラーが減っていることを月次の会議で示し、判断の材料を数字にそろえることで、元に戻そうという意見を避けました。説明のときに使ったのは、削除したページの中身と、残したページの表示回数の推移です。減ったのは応募できない求人と、説明文を用意できない一覧であることを具体的に示すと、社内の不安は小さくなっていきました。

求人ページの種類ごとに流入が増えた順番

変化は、ページの種類によって時期がずれました。最初に動いたのは求人詳細ページで、構造化データを入れた求人からGoogleの求人検索機能の表示が増えました。ページの種類ごとの変化を並べると、次のとおりです。

項目(一例)変化
求人詳細ページの検索流入半年ほどで取り組み前の3倍
求人一覧ページ全体の検索流入一年後に2倍
一般的な職種名だけの一覧ページ最後まで大きくは伸びず
検索から求人ページに入った人からの応募一年で1.6倍

次に伸びたのが、掛け合わせで作り直した一覧ページです。未経験や時短勤務といった条件を含む検索で表示されるようになりました。求人詳細ページが先に動いたのは、構造化データを入れた求人から順に扱われるため、作り直しの効果がページ単位で表れやすかったからだと考えられます。一覧ページは、掲載する求人の入れ替わりに合わせて中身が育つまでに時間がかかりました。

求人ページの流入を動かした要因と効果が薄かった取り組み

この事例を振り返ると、流入を動かしたのは、求人ページを検索から読める状態にしたことと、ほかのサイトでは読めない情報を足したことの二つでした。どちらも派手な施策ではありませんが、毎月入れ替わる求人すべてに効いたという点で、影響が大きかったと考えています。

効いたと考えられるのは、まず公開範囲の見直しです。登録の壁の後ろにあった求人の中身を最後まで読めるようにしたことで、検索から訪れた人がその場で判断できるようになりました。構造化データや一覧の整理も、中身が読めなければ効果が出にくい施策です。

同じ、検索から読める状態にするという意味では、失効管理も見た目より大きく効きました。掲載が終わった求人が残っていると、求職者の体験が悪くなるだけでなく、期限切れの求人が公開されている状態として扱われます。自動で削除し、Indexing APIで知らせる運用にしてからは、構造化データのエラーが減り、新しい求人の扱われ方も安定しました。

入稿画面の項目を増やし、営業が職場の写真と選考の流れを足したことも、ほかのサイトとの違いになりました。同じ原稿が並ぶ中で、この転職サイトだけが持つ情報が、読まれる理由を作っています。

一方で、効果が薄かった取り組みもあります。一般的な職種名だけの一覧ページを作り込む作業は、大手の掲載件数と比べられる土俵から抜け出せず、順位はほとんど動きませんでした。コラムから求人一覧へ内部リンクを大量に足した施策も、読者の関心が転職の準備段階にあるためか、応募にはつながりませんでした。条件を満たさない掛け合わせの一覧を、説明文のテンプレートで埋めて公開しようという案も途中まで検討しましたが、内容が似たページを増やすだけだと判断して取りやめています。

振り返ると、順番にも意味がありました。公開範囲と失効の処理という土台を先に直したため、そのあとに実装した構造化データと、作り直した一覧ページが無駄になりませんでした。逆の順番で進めていたら、登録の壁の後ろにある求人に構造化データを入れることになり、手戻りが出ていたはずです。

自社の転職サイトで最初に確かめたい求人ページの状態

同じ課題を抱えている転職サイトで、どこから確かめればよいのかを整理しておきます。どれも、大きな改修を決める前に分かることばかりです。

確かめる順番は、次のとおりです。

  • 掲載が終わった求人の扱い
    応募できない求人が検索から読める状態なら、失効の処理から着手する価値があります。
  • 登録なしで読める範囲
    求人の中身が最後まで読めるかを、ログアウトした状態で確かめます。
  • 構造化データの状態
    リッチリザルトテストで必須の項目がそろっているか、Search Consoleの拡張にある求人情報のレポートでエラーが残っていないかを見ます。
  • 一覧ページの出し分け
    検索結果に登録されているものとそうでないものが意図どおりに分かれているか、サイト内の絞り込みで生まれるURLがそのまま無数に登録されていないかを確かめます。
  • 求人原稿の独自性
    掲載企業から受け取ったままの内容で、ほかのサイトと同じ文章が並んでいないかを確かめます。

運営会社そのものの信頼を示す情報も、忘れずに確かめたい部分です。転職サイトの運営は、有料の職業紹介を行う場合には職業安定法の第三十条にもとづく厚生労働大臣の許可が必要で、求職者の情報を集めて求人情報を提供する特定募集情報等提供事業を行う場合には第四十三条の二にもとづく届出が必要になります。許可や届出があるのなら、その情報をサイトの分かりやすい場所に載せておくことで、求職者にも掲載企業にも判断の材料を渡せます。

届出の義務を定めているのは、同じ職業安定法の第四十三条の二です。どの事業が対象になるかは第四条の定義で決まり、労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供が「特定募集情報等提供」とされています。求職者の登録を受け付けるかどうかが、届出の要否を分ける境目になります。

ドメインも、信頼を伝える材料の一つです。属性型JPドメイン名のうち、CO.JPは日本国内で登記を行っている会社が登録でき、原則として一つの組織に一つのドメイン名という制限があります。運営会社の実在と結び付いたドメインであることは、求職者に個人情報を預けてもらうサービスにとって、伝えておく価値のある事実です。

JPドメイン名を管理している日本レジストリサービス(JPRS)が、属性型JPドメイン名の登録資格をまとめているページです。CO.JPのほかにも組織の種別ごとに登録できる条件が分かれていること、原則として一組織一ドメイン名という制限には緩和の制度があることも、ここで確かめられます。

最後に、社内の役割分担も見ておくとよい部分です。求人原稿の質を上げるのは営業、出し分けと構造化データは開発、指標の記録はマーケティングというように、担当が決まっていなければ、一度直しても元に戻ります。毎月の確認を誰がいつ行うのかまで決めて、はじめて仕組みとして回り始めます

まとめ

この転職サイトは、コラムを増やす方向ではなく、応募に近い求人ページを検索の入口として作り直すことで、流入と応募を増やしていきました。

取り組みの中心は、求職者の探し方に合わせて掛け合わせた求人一覧ページと、検索結果に残すページの線引き、掲載企業の原稿に運営側の情報を足した求人詳細ページ、会員登録なしで求人を読める公開範囲、そしてJobPostingの構造化データと掲載終了後の失効管理でした。どれも毎月入れ替わる求人すべてに効く、仕組みの側の改善です。

成果が数字に表れるまでには時間がかかり、途中でサイト全体の表示回数が下がる時期もありました。ページの種類ごとに数字を分けて記録していたことが、その時期に方針を戻さずに済んだ理由です。自社のサイトに置き換えるなら、掲載が終わった求人の扱いと、登録なしで求人を読めるかどうかから確かめてみてください。求人の数が多いサイトほど、一件ずつの工夫より、全件に効く仕組みの見直しが結果につながります

よくある質問