2026年5月のGoogle検索は、新しいコアアップデートの展開と、AIを軸とした検索体験への移行が同時に進む、ひとつの節目といえる一カ月になりました。本レポートでは、私たちSEOチームが5月に確認した主要な動きと、その背景にある検索の方向性、そして今後のサイト運営で重視したいポイントを整理してお伝えします。順位の変動そのものよりも、検索全体がどこへ向かおうとしているのかを読み解くことが、これからの判断には欠かせません。

May 2026 コアアップデートの展開と今回の特徴
Googleは米国時間2026年5月21日より、品質評価の大きな見直しである「May 2026 コアアップデート」の展開を順次開始しました。3月に実施された「March 2026 コアアップデート」が4月8日に完了してから、わずか約6週間という比較的短い間隔での実施です。展開の開始からおよそ10日が経過した時点でも反映は完了しておらず、完全に行き渡るまでは最長で2週間ほどかかる見込みです。そのため、最終的な順位変動の全体像は現時点ではまだ確定していません。直近の二つのコアアップデートを整理すると、次のようになります。
| コアアップデート | 展開状況 | 今回までの特徴 |
|---|---|---|
| March 2026 コアアップデート | 2026年4月8日に展開完了 | 直近の品質評価の更新 |
| May 2026 コアアップデート | 2026年5月21日に展開開始 | 前回の完了から約6週間後という短い間隔で実施 |
ここで注目したいのは、このアップデートが展開される直前の5月19日から20日にかけて、Googleの開発者向け会議であるGoogle I/Oが開催されていたという点です。この会議では、検索エンジンが長年培ってきた強みと、生成AIの能力を融合させる取り組みの次の段階が示されました。その発表の直後にコアアップデートが動き出したことを踏まえると、今回の変動は単なる品質評価の更新にとどまらず、AIを中心とした情報検索への移行という、より大きな方針転換の流れの一部として捉えるのが自然です。目先の順位の上下に一喜一憂するのではなく、検索という仕組みそのものがどの方向へ進もうとしているのかを見極める視点が、これまで以上に大切になります。
なお、コアアップデートの展開期間中は、順位が日によって大きく揺れ動くことがあります。しかし、この段階で慌てて大規模な変更を加えるのは得策ではありません。反映が完了するまでは評価が安定しないため、変動の数値だけを見て施策の良し悪しを判断すると、かえって誤った方向へ進んでしまう恐れがあります。まずは経過を冷静に観察し、変動が落ち着いてから自サイトの傾向を腰を据えて分析するという順序が望ましいといえます。展開状況そのものは、公式の検索ステータスダッシュボードで誰でも確認できます。
検索クエリの変化に合わせてコンテンツを細分化する
今後の検索で意識しておきたい変化のひとつが、検索クエリそのものの質が変わっていくという点です。これまでのように単語やキーワードを組み合わせた検索よりも、状況や条件、目的を含んだ、長く曖昧で会話的な検索が増えていくと考えられます。利用者は「何という言葉で調べるか」ではなく「自分の状況をどう解決したいか」を、そのまま文章として検索に入力するようになりつつあります。AIとの対話に慣れるほど、この傾向は強まっていくでしょう。
この流れに対応するためには、当たり障りのない汎用的な情報を広く浅く並べるのではなく、特定の状況や条件に即した、細分化されたコンテンツを丁寧に用意することが重要になります。検索ボリュームの大きいクエリに応えること自体は引き続き大切ですが、それだけでは十分とはいえません。運営者だからこそ提供できる、他では決して得られない情報、すなわち一次情報や実体験、独自に収集したデータをあわせて掲載していくことで、コンテンツの価値は大きく高まります。具体的な場面を想定し、そこに置かれた読者の疑問へ正面から答える姿勢が、これまで以上に成果へ結びつきやすくなっていくはずです。加えて、ひとつの記事であらゆる読者を満足させようとするよりも、想定する読者像を思い切って絞り込み、その人が抱える固有の悩みに深く踏み込んだほうが、結果として幅広い検索に応えられるという場面も増えています。誰に向けて書いているのかが明確なコンテンツは、読者にとっても、そして要約を行うAIにとっても、扱いやすい情報になります。
エンティティを明確にしてAIに選ばれる情報源になる
検索結果の見え方も着実に変化しています。かつてはサイトに掲載した内容がそのままオーガニック検索に表示されていましたが、現在はAI OverviewやAI Modeの上で、複数の情報源が比較され要約された結果が示されるようになりました。その結果として、これからは自社の情報がAIによる回答の根拠リンクや比較対象、引用元として、いかに選ばれるかが、これまで以上に重要な論点になっていきます。表示の主役が、個々のページから要約された回答へと移りつつあるのです。
実際に、ある大規模な分析によると、AI Overviewが表示されるGoogle検索クエリの割合は、2025年1月の約6%から7月には約25%へと急速に拡大し、その後は揺り戻しがあって11月には約16%へと落ち着きました。AIによる要約表示が、試行錯誤を経ながら検索結果のなかに定着しつつある様子がうかがえます。
これは決して新しい概念というわけではなく、SEOで長く重視されてきたE-E-A-Tの延長線上にある考え方です。「誰が書いたのか」「どの会社や商品、場所、専門領域に関する情報なのか」というエンティティを明確にしたうえで、著者情報や会社情報、各種プロフィール、構造化データ、引用元、更新日、これまでの実績といった要素を、ひとつずつ丁寧に整えていくことが効果的です。あわせて、独自ドメインでの運用歴が長いサイトの一部が好調に転じている傾向も見られます。一貫した情報発信を長い期間にわたって続けてきたという積み重ねが、信頼性の評価へ反映されている可能性があります。短期的な施策だけに頼るのではなく、誰が何について発信しているのかを揺るがせない形で示し続けることが、これからの評価の土台になります。
AIが抽出しやすい構造へ情報を整える
検索エンジンは長い歴史の中で、文章の意味を読み解く力を着実に高めてきました。一方で、AIを活用した検索はまだ黎明期にあります。実際、米国の調査では、AIチャットボットからニュースを得ている人はまだ限られており、回答者の75%が「全く得ていない」と答えています。AIを介して情報に触れるという行動は、社会全体で見れば、ようやく広がりはじめた段階にあるといえます。
だからこそ、Googleに限らずさまざまな大規模言語モデルが情報を正確に抽出できるよう、ページの構造を改めて見直しておく価値があります。見出しや表、箇条書き、よくある質問、比較表、用語の定義、手順、要約といった要素を適切に配置することで、機械にとっての理解しやすさは大きく向上します。ただし、ここで最も優先すべきは、あくまで人間にとっての読みやすさであるという点を見失ってはいけません。訪問者にとって快適なUIやUXを保つことが大前提であり、AI向けの最適化は、その土台の上に積み重ねていくものです。読み手が迷わず目的の情報へたどり着ける構造を整えたうえで、AIにも解釈されやすいMarkdownや、JSON-LDによる構造化データ、必要に応じてLLM向けに整理した情報の提供などを、あわせて検討していくとよいでしょう。人間と機械の双方にとって分かりやすいページは、結果的にどちらの評価軸においても有利に働きます。
たとえば、誰が書いたのかをAIに伝える構造化データは、次のようにごく簡潔な記述から始められます。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Article",
"headline": "2026年5月のSEO振り返りレポート",
"author": {
"@type": "Person",
"name": "SEO Note! Team"
},
"datePublished": "2026-06-01",
"dateModified": "2026-06-01",
"publisher": {
"@type": "Organization",
"name": "株式会社コンテンシャル"
}
}
</script>
検索面に表示される事業データ全体を管理する
最後に見落とされがちなのが、検索面に表示される情報は自社サイト本体だけではない、という視点です。独自の商品やプロダクトを持たないサイトは例外となりますが、多くの場合は、予約状況や在庫、価格、営業時間、口コミやレビューといった情報も、定期的に確認しておくべき対象になります。これらは更新が滞りやすく、気づかないうちに実態とずれていくことが少なくありません。
AIを活用した検索では、自社サイトの内容に加えて、Googleが参照できる周辺データ全体が「選ばれる材料」として扱われます。ナレッジパネルやMerchant Center、Googleビジネスプロフィールなど、公式サイト以外に分散している情報についても、内容が古いまま放置されていないか、サイト本体の記載と食い違っていないかを点検し、整合性を保つ運用が求められます。どれだけ自社サイトを丁寧に整えたとしても、外部に表示される情報がちぐはぐであれば、利用者にもAIにも誤った印象を与えかねません。とりわけ価格や営業時間のように、利用者が行動を起こす直前に確認する情報の食い違いは、信頼を直接損なう要因になります。検索面に現れる情報をひとつの面として捉え、その全体を継続的に管理していく姿勢が、これからはいっそう大切になります。
2026年5月のまとめと今後の方針
2026年5月は、コアアップデートの展開とGoogle I/Oでの発表が重なり、AIを中心とした検索への移行が改めて明確になった一カ月でした。コアアップデートの最終的な影響については今後の経過を見守る必要がありますが、進むべき方向性そのものは、すでにおおむね見えてきています。今後のサイト運営で重視したいポイントは、次の四つに整理できます。
- 検索クエリの変化に合わせて情報を細分化する
状況や条件、目的を含んだ会話的な検索を想定し、一次情報や実体験を交えた具体的なコンテンツを用意する。 - エンティティを明確にして選ばれる情報源を目指す
誰が何について発信しているのかを示し、著者情報や構造化データ、これまでの実績を丁寧に整える。 - 人間とAIの双方にとって分かりやすい構造を整える
読みやすさを最優先しつつ、見出しや構造化データによってAIが抽出しやすい形に整える。 - 検索面に現れる事業データの全体を管理する
ナレッジパネルやビジネスプロフィールなど、外部に分散した情報の整合性を保つ。
これらは互いに切り離された個別の施策ではなく、AI時代の検索へ一貫して対応していくための、ひとつながりの取り組みです。短期的な変動に振り回されることなく、信頼される発信を着実に積み重ねていくことが、これからの安定した成果へとつながっていきます。


